今日、私たちはダイナミックで激動の世界に生きており、そこでは息をのむようなスピードで変化が起きています。大きな課題が立ちはだかる一方で、私たちの前には比類のない機會が広がっています。ファーウェイには、科學技術とお客様のニーズという2つのイノベーションの原動力があります。商業的価値と市場ニーズの両方が當社のイノベーションを推進し、科學技術への投資方法を決定づけています。技術におけるブレークスルーは、その見返りとしてお客様のニーズを刺激し、お客様により大きな価値を生み出すことにつながります。

基礎研究

2024年、事業戦略と整合し、數理論理學を中心とする基礎研究と理論研究を強化しました。これにより、當社は土壌を肥沃にし、特定の事業の発展を阻むボトルネックを打破するイノベーション能力を構築しました。

ファーウェイは基礎研究を重視しています。なぜなら、一つひとつのブレークスルーが暗闇の中の燈臺のように燈り、イノベーションの勢いを生み出し、多様な事業分野にわたる長期的な成長を促進するからです。

ゲーム理論:

• 無限次元混合整數プログラムとその線形計畫緩和の間の積分性のギャップに対処するための新しい予言不等式を提案しました。単位需要?単一購入者設定における収益最大化という長年の課題に対し、當社の新しいアプローチは、確立された理論的ベンチマークに対する3次近似を保証し、この分野で15年ぶりの大きなブレークスルーとなりました。このブレークスルーに関する論文は、2024年「IEEE第65回コンピュータサイエンスの基礎に関する年次シンポジウム (FOCS) 」で発表されました。

基礎AI理論:

• オープンソースの大規模言語モデル(LLM)を微調整し、思考連鎖(CoT)推論を改善する目的で、強化學習と値に基づく木探索學習のフレームワークを初めて発表しました。このアプローチは、木ノードの価値関數を定義することで、特定の數學およびゲームタスクの推論精度を平均で14%、最大で50%向上させます。
• また、LLMに基づく定理証明エージェントであるLEGO-Proverも提案しました。LEGO-Proverは、証明者（ prover）、進化者（evolver）、スキルライブラリの相互作用と連攜により、自動定理証明を容易にし、miniF2Fにおける成功率が5%～10%向上します。

當社の科學研究は、科學者の創意工夫を結集して、さまざまなビジネスの要件、課題、問題點を解決することを目指しています。

• 大規模MIMOトランシーバーは計算複雑度が高いという特徴があります。これに対処するため、変換領域信號処理の理論とフレームワークを提案し、信號のダイナミックレンジの拡大を効果的に抑制し、計算複雑度を25%以上削減しました。
• ヘッブ學習則に基づき、ニューラルネットワークのバックプロパゲーション以外の新しい局所戦略を開発し、LLMに対して20%以上の微調整スループット向上を達成した。
• 代數的モジュラーアプローチと短いリードソロモン（RS）符號を用いて、RS符號の高速復號化を実現しました。これにより、ウェルチバーレカンプ（Welch-Berlekamp、WB)鍵方程式問題に內在する理論上の最小反復回數に近づき、1981年にC.-L.チェン氏によって確立されたt+e境界を超えることができました。

當社のChasparkウェブサイトは、グローバルな學術?技術リソースへのオンラインアクセスを提供し、世界をつなぎ、學術交流を通じて新しいアイデアを育むための肥沃な土壌を作り出しています。このプラットフォームは、1億9,000萬件以上の特許記録と8,000以上の學術會議への無料オンラインアクセスを提供し、570件以上の産業課題、300件以上のコンテスト問題、10件以上のオープンソースプロジェクトを公開しています。多くの大學教育関係者が、これらの課題に対する解決策を見出すためにアイデアを提出し、その努力によって現在までに300件以上の課題解決に貢獻しています。

オープンイノベーション

當社はお客様のシナリオを深く掘り下げ、エンドユーザーに寄り添い、創造的に問題に取り組み、確かな理論的基盤に基づいた畫期的な技術革新を実現しています。商業的価値と市場の需要を指針とし、システムエンジニアリングの強みと包括的なポートフォリオを活用し、お客様のために常に価値を創造しています。

無線通信

無線通信 私たちは、業界のブレークスルーを推進し、モバイルAI時代がもたらす膨大な機會を捉えるために、絶え間ないイノベーションを続けています。この目標達成のため、昨年は以下の成果を挙げました。

• エージェントAIをベースとしたA-Coreネットワークアーキテクチャのプロトタイプを発表し、アプリケーション主導型生成AIネットワークを実現。
• AIベースのRF-MAPと超低次元潛在空間でのフルランク計算を採用することで、センチメートル波帯における従來のMassive MIMOの実現を阻んでいたパイロットリソース利用のボトルネックを解消しました。これにより、スペクトラム効率を約5倍向上。
• ミリ波周波數帯で、軌道角運動量の特性である自己修復効果を利用し、地上における信號の見通し外無線伝搬を実現し、カバレッジを10dB以上拡大。
• ミリ波周波數帯で低軌道衛星と攜帯電話の直接接続を可能にし、容量密度を約5倍に拡大。

光ネットワーク

光ネットワーク分野では、以下の成果を挙げました。

• 新たな光ファイバーチャネルの損傷モデルを定義し、革新的なカスケード型前方誤り訂正（FEC）技術を用いて低遅延を実現し、短距離800G光相互接続のIEEE標準の策定に貢獻。
• 広帯域幅の高次変調と240GBdの超低駆動電圧薄膜ニオブ酸リチウム（TFLN）変調技術で進歩を遂げ、ビットあたりのコスト可能な限り低く抑えたデータセンター相互接続（DCI）ソリューションの構築に貢獻。
• 多層ウェーハのハイブリッド接合やウェーハレベルの光窓気密封止パッケージングなどの技術的課題を克服し、高ポート數のMEMSベースOXCの大規模な商用利用を可能にしました。これにより、數百萬枚のカードを使用するインテリジェントコンピューティングクラスターの効率的なスケジューリングが可能になります。

ネットワーク

ネットワーク分野では、以下の成果を挙げました。

• 並列通信におけるスパースモデル學習の課題を克服する、新たなネットワーク時空間バランスアルゴリズムを提案し、95%を超えるネットワークスループットを実現。
• 業界初となる非対稱?異種リンク向け集合通信アルゴリズムを開発し、バスとネットワークの帯域幅再利用の問題を解決するとともに、通信性能を55%以上向上。

AIアルゴリズム

 當社はAIアルゴリズムにおいて絶え間ないブレークスルーを成し遂げてきました。これは、AI時代の基盤モデルに関する重要な課題に取り組み、大きなチャンスをつかむのに役立ちます。

• 現在までに、Panguモデルは30以上の業界にわたって400以上のシナリオで使用されており、これらの業界がより簡単にインテリジェント化するのに役立っています。Panguモデルは、Celiaが何兆ものトークンを使ってトレーニングを行うのを助け、主要な23シナリオで記憶と認識を支援し、タスクプランニングの成功率90％を達成しました。
• HUAWEI ADS 3.0には、マルチモーダル融合知覚ネットワークと、脳のような思考をサポートする革新的なエンドツーエンドの認知アーキテクチャが搭載されています。これらの技術により、ロスレス情報伝達とエンドツーエンドの人間のようなインテリジェントな運転を実現し、応答性は少なくとも100％向上します。2024年、HUAWEI ADSを搭載した車両は、総走行距離の30%にあたる14億km以上をインテリジェント運転で走行しました。ファーウェイのインテリジェント運転システムを利用した1人あたりの走行距離は最大10萬kmを超えました。また、昨年はファーウェイのインテリジェント運転システムを利用した駐車回數が1億回を超えました。

コンピューティング

コンピューティング分野では、以下の成果を挙げました。

• コンピューティング、ストレージ、ネットワークを高度に統合した新しいアーキテクチャを搭載したAI搭載のAtlas 900 A3クラスターを発表。SuperPODを組み合わせることで、體系的なコンピューティングソリューションを構築し、モデルのトレーニングや推論に対するお客様のコンピューティングニーズに対応できるようになりました。
• Ascend製品とソリューションのパフォーマンス、使いやすさ、オープン性を向上させることで、競爭力をさらに強化。80以上の新しい融合演算子と100以上のAscend C APIをサポートするCANN 8.0をリリースしました。
• 集団通信アルゴリズムの開発、LLM PD-disaggregated展開ソリューションの設計、LLMDataDistコンポーネントを公開。また、AscendでのLLM推論パフォーマンスを向上させるグラフモード機能を拡張するPyTorchライブラリのサポートを開始しました。

コンシューマー事業

當社は技術革新と基盤技術のブレークスルーに引き続き取り組んでいます。この分野で數々の飛躍的進歩を遂げ、消費者の皆様に常に優れた體験を提供できるよう努めてきました。

• 折りたたみ式攜帯電話向けに業界初の高度精密ヒンジシステム（Advanced Precision Hinge System）を開発しました。このシステムにより、正確で繊細なデュアルヒンジの動きを実現し、內側への折りたたみでも外側への折りたたみでも、スムーズでシームレスな操作性を実現します。
• 超薄型のフレキシブルガラス技術でも大きな進歩を遂げました。當社の3つ折りスマートフォンは、322平方センチメートルのUTGガラスディスプレイを搭載した史上初の製品であり、あらゆるお客様の手のひらへ視覚的なシンフォニーをお屆けします。
• また、150萬スペクトルチャンネルを搭載し、驚くほど忠実な色を再現する世界初のウルトラクロマカメラも発表しました。このカメラはウルトラライティングカメラとともに、色の精度を驚異的な120％向上させました。
• 當社はPure Voiceなどのアプリケーションをはじめ、AIを活用したユーザー體験向上に継続的に取り組んでいます。このAIを搭載した機能は、通話相手をインテリジェントに検知し、音聲を鮮明化するだけでなく、背景雑音や環境雑音を除去することで、騒音の中でもクリアな通話を実現します。
• AIクラウドエンハンスメントを使用して寫真の畫質と鮮明度を向上させ、究極の10倍望遠撮影體験をユーザーに提供します。
• さらに、高精度センサーによりスマートウォッチが正確に血圧を測定できるHUAWEI TruSenseシステムも発表しました。

基盤ソフトウェア

• 當社のGaussDBは、情報技術セキュリティ評価の共通基準（CC）のに基づき、中國と世界の両方で評価保証レベル4拡張（EAL4+）認証を取得したデータベースです。また、中國で最高レベルのセキュリティおよび信頼性評価であるレベルIIを受けた唯一のデータベースでもあります。
• 多次元認識とスケジューリング、そして1秒未満のインプレースアップグレードの畫期的な進歩により、openEulerの性能はKunpengを利用した4つの主要シナリオで15%向上し、クラウドホストのアップグレードが容易になり、「ゼロマイグレーション」が実現しました。
• また、カーネル、コンパイラ、OSウィンドウシステム、アプリケーションフレームワークを含むさまざまなリソースの最適化を調整し、HarmonyOS 5のパフォーマンスを舊バージョンと比較して30%向上させました。

システムエンジニアリング

• 大規模AIコンピューティングクラスターにおけるサイレントデータ破損の検出と特定は、長年にわたり業界の悩みの種でした。しかし、この分野における當社のブレークスルーにより、このようなシステムの性能を保証しながら、90%以上の障害を検出できるようになりました。
• HarmonyOS 5の信頼性に関する課題に対処するため、高性能スタックアンワインドと同時障害特定技術において畫期的な進歩を遂げ、信頼性とパフォーマンスの障害の自動検出において94%以上の精度を達成しました。
• ソフトウェアエンジニアリングにおいては、HarmonyOSに3つの防御ラインを構築し、ソフトウェアのセキュリティ問題の80%以上を発生前に特定できるようにしました。